中野満の日記
球根に柿にみかんに
園芸センターに立ち寄ると、目に飛び込んできたのは色とりどりの球根でした。この時期は、春に咲く球根の植え時です。中でも人気のチューリップをはじめ、ヒヤシンスやクロッカスなどが店先を彩っていました。寒さが増していくこれからの季節、春の花々が咲く未来を思い浮かべながら土いじりに没頭するのも、心温まるひとときになるかもしれませんね。
隣の果物専門の棟では、先月まで桃や梨が並んでいましたが、今はみかんや柿がその場所を占めています。正岡子規の句がふと頭をよぎり、子どもの頃、母が庭先で吊るし柿を作っていた姿が懐かしく思い出されました。かつては庭に柿の木があるのが珍しくない光景で、まさに秋の風物詩でした。
また、みかんと言えばやはりコタツでしょうか。コタツに足を入れ、テレビを見ながらみかんを剥いて食べる、あののんびりとした時間の流れが今も心に残っています。
そして、道沿いにはピンク色の秋桜が風に揺れていました。季節が進むのは本当にあっという間ですね。今日からは天気が崩れる予報ですが、一雨ごとに秋が深まっていくのでしょう。この風景もまた、季節が織りなす物語の一幕です。
季節が移ろい、果物や花々がそのときどきの表情を見せてくれるように、企業経営にも変化の波はつきものです。日々の何気ない風景の中にこそ、成長のヒントが隠れています。桃や梨が去り、みかんや柿が並ぶように、状況に応じて経営資源を最適化することが求められるのです。
吊るし柿を仕込むには、柿が熟しきる前の“今”がチャンスです。これを逃せば、次の機会はまた一年後。経営においても、わずかな見落としが後に大きな影響を及ぼします。だからこそ、小さな変化を捉え、それを未来につなげる判断が大切です。
また、コタツでみかんを剥くような心の余裕も、経営には欠かせません。ときに立ち止まってこれまでの成果を振り返ることで、次の一歩を見つめ直すことができるのです。桜が咲く春を見据えて今球根を植えるように、未来を意識した種まきを行うことが、持続的な成長への鍵になります。
変化に迅速に対応するには、経営者に素早い意思決定力が求められます。そして、その判断には“数字”という客観的な根拠が欠かせません。どの指標が意思決定につながり、人事の評価にどう結び付くのか。そのロジックを組み立てる過程で、私たちコンサルタントの役割が発揮されます。
季節の変化をただやり過ごすのではなく、外部環境の変化が自社にどのような影響を及ぼすのかを考え、仮説を立て、根拠を持って検証する。この一連の行動をスピード感を持って繰り返すことで、質の向上も期待できます。こうした積み重ねが、やがて企業の「経営の物語」を形作っていくのです。私はそう考えます。
変化に対応する習慣を、この秋から始めてみませんか。