今週の中野満
静かに佇む、1300年の小さな寺院
本日は、顧問先様の訪問前に少し時間がありましたので、寺院に立ち寄り参拝してまいりました。堺市の百舌鳥八幡にある光明院というお寺です。光明院には、首から上の病を封じてくれると伝わる霊験あらたかなお地蔵様「頭守地蔵尊」(とうもりじぞう)がいらっしゃいます。
光明院の創建は西暦729年、今からおよそ1300年前に遡ります。これは、光明皇后の発願によるものだと伝えられています。光明皇后といえば、藤原氏との権力争いや皇位継承のための政争に翻弄されつつも、仏教への深い帰依を貫いた人物です。聖武天皇とともに、東大寺や国分寺といった名だたる寺院を建立し、国の平安と繁栄を祈り続けました。当時は度重なる天変地異が民を悩ませていましたが、光明皇后はその苦難を仏の力で乗り越えようとし、数々の寺院建立に心血を注がれました。彼女が祈りを込めて願った平穏への想いは、1300年もの歳月を経た今もなお、光明院の静かな佇まいの中に息づいているようです。
この長い年月にわたって守られてきた祈りの場に立つと、過ぎ去った時代の人々の想いが、静かに心に染み渡るような感覚に包まれます。まるで、今もなお私たちを見守り続けているかのようです。そのような数々の祈りの場面を受け入れてきたこの寺院に立つ私は、いったい何人目の参拝者なのだろう。何人の人々がご本尊である釈迦如来と十一面観音菩薩、頭守地蔵に感謝と祈りを捧げてきたのだろう。なんとなくですが、お釈迦様も観音様もお地蔵様もたくさんの人々が来てくれて喜んでいるような気がします。1300年という長い時の流れの中で、数えきれないほどの人々がここを訪れ、喜びや悲しみ、悩みや願いを抱えて手を合わせてきたに違いありません。
こうして私も、この場所で祈りを捧げる一人となれたことに、不思議なご縁を感じます。何百年もの間、数えきれない参拝者の想いを受け止めてきた仏様に祈りを捧げるひとときは、私にとってもかけがえのない「祈りの場」となりました。静かに心の奥から感謝の念が湧き上がってくるのを感じます。
本堂で手を合わせ、頭守地蔵(とうもりじぞう)の頭をそっと撫で、祈りを込めました。その後、お庭を散策しました。小さな寺院ゆえにお参りの時間は短いものの、ここには悠久の時が静かに流れています。1300年の時が積み重なり、訪れる人々の祈りが交わってきた光明院。静かな安らぎと温かい感謝の気持ちが満ちてきます。
ふと考えさせられます。1300年もの間、時代が移り変わり、訪れる人々が変わろうとも、この場所では絶えず感謝の気持ちと祈りが捧げられてきました。その姿は、100年企業を目指す企業経営にも通じるものがあるのではないでしょうか。企業もまた、支えてくれる顧客や従業員、そして社会に対する「感謝」を忘れずに積み重ねることで、長い年月を経ても人々に愛され続ける存在となるのかもしれません。感謝の念が企業の根幹にあり、それが信念と行動を支え、やがて時代を超えて受け継がれる価値へとつながっていく。そんな経営の在り方こそが、100年企業への一歩なのだと感じました。
ふと立ち寄った時間でしたが、非常に有意義なひとときでした。さあ、今日もがんばっていこうと思います。