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中野満の日記

事業再構築補助金の意義を再考する

2025.01.21 Sun

補助金について

事業再構築補助金が、2025年1月に公募開始される第13回をもって終了するというニュースが届きました。この補助金は、新型コロナウイルスによる影響を受けた多くの事業者にとって、事業の転換や新たな挑戦を後押しする重要な制度でした。その終了は、企業経営者にとって一つの節目であり、新たな未来へのスタートラインとも言えるでしょう。

私たちは、1回目の公募から10回目の公募まで、多くの事業者様と共に事業計画書の策定を進めてまいりました。その中で感じたのは、補助金を「もらう」ことを目的にするのではなく、事業を成功に導くための計画を構築することが、何よりも重要であるという点です。

補助金の意義とその役割

これまでの支援を通じ、新規事業や事業転換に成功された多くの事例を見てきました。成功された事業者に共通しているのは、事業計画を羅針盤として、事業を丁寧に遂行されている点です。

補助金を活用する際には、3~5年を見据えた定性的な目標と、それに伴う定量的な計画が求められます。特に補助事業の場合、付加価値の向上が重要なポイントとなります。そのため、営業利益や減価償却、人件費といった具体的な数値を計画に組み込み、進捗を管理することが欠かせません。

たとえば、ある事業者様は、コロナ禍で主力事業が停滞する中、補助金を活用して異業種への参入を果たし、見事に成功を収めました。この際、詳細な利益計画と人件費の検討が成功の鍵を握りました。一方で、「補助金がもらえるなら新しい事業を始めよう」といった考えに基づく計画では、持続性が課題となるケースも見受けられます。こうした事例は、補助金の本来の意義を再考する機会を与えてくれます。

補助金のジレンマと本当の役割

補助金の活用には、年1回の「事業化報告」という重要なプロセスがあります。これは、実績報告後も事業の進捗状況を国に報告する取り組みで、既に2回目の報告を終えた企業も存在します。この報告を通じて得られる気づきや学びは、他の事業者様にも役立つ貴重な財産です。

一方で、補助金の性質に対する誤解やジレンマもあります。補助金を活用した事業が成功し、受け取った補助金額を超える利益が生じた場合、「収益納付」が発生します。これは、「利益が出た場合はその一部を社会に還元してください」という考え方に基づいています。

この仕組みは、事業が成功するほど返納額が増えるジレンマを伴いますが、それでも補助金は「投資のスタートを助けるツール」として捉えるべきです。収益納付は社会貢献と考え、事業の成長に力を注ぐ姿勢が求められます。「補助金を活用し、その返納が発生するほど事業を成功させた」という事実は、むしろ胸を張って、誇るべき成果と言えるでしょう。

補助金を超えた物語を紡ぐ

事業再構築補助金は、事業者が未来を描くためのツールでした。本当の目的は、事業者様が自らの成功の物語を描くことです。私たちは、その物語の第一章を共に作り上げてきたという誇りを胸に、これからも挑戦する事業者様を支えていきたいと考えています。

これまで補助金の相談をきっかけに、多くの事業者様とのご縁をいただきました。採択の結果にかかわらず、伴走支援やスポット支援を通じて触れた事業者様のオリジナルな計画には、驚きと感動がありました。その計画には、事業者様の個性や未来への思いが色濃く反映されており、私たちにとっても大変貴重な経験となりました。感謝申し上げす。

こうした学びを糧に、補助金を超えたその先の未来を共に描き続けたいと思います。そして、事業者様が成功の物語を紡ぐ一助となれるよう、これからも尽力してまいります。

 

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